栄養面でサケを考えると、他の魚よりも優れた点があることに目を引かれます。なんといってもビタミンDが豊富です。100グラムのサケの身で、1日の必要な量の6倍ものビタミンDが含まれます。
ビタミンDは、カルシウムを吸収するのに必要なビタミンで、骨を丈夫にすることはよく知られていますが、それだけでなく、筋肉を維持して筋力低下を防ぐ作用も注目されています。
骨粗しょう症や加齢性筋萎縮といった、お年寄りが寝たきりになる危険性のある病気を予防するのに効果的だと考えられるのです。
サケの赤い色素が若さを呼ぶ
お正月の祝い魚は、土地によってちがいがあり、サケを用いるのは、主として東日本。
北陸や山陰地方では、ブリが主役となります。
サケの場合、肉質の赤さが、他の魚とはちがった、
神聖でおめでたい魚と考えられていたのです。
赤い色には、厄除けの効果があるとか、幸運を呼び込む力があると信じられていました。
この赤い色素は、アスタキサンチンという抗酸化成分。
紫外線などで、体内に発生する活性酸素は、ガンや動脈硬化、心臓病、
老化の原因になります。
その予防対策として、効果的なのが、カロチノイド色素をとることですが、
中でも抗酸化力が強いのがサケに含まれているアスタキサンチンです。
抗酸化ビタミンとしてよく知られているビタミンEの何倍もの
抗酸化力があるといわれているのです。
生涯現役で長生きする上では、大変に心強い味方といってよいでしょう。
アスタキサンチンは、サケの卵のスジコやイクラ、タラコ、タイやキンキ、
キンメダイなど、皮の赤い魚の皮の部分などにも含まれています。
エビやカニの赤い色素も、アスタキサンチンによるものです。
お雑煮の魚に赤身のサケを用いることによって、
1年間の無事を祈ると同時に、不老長寿も祝ったのです。
赤い色素の成分名は知らなくても、サケを食べて長寿を祈ることには、
ちゃんとした裏づけがあったのです。
サケの脂質には、物忘れを防ぐ成分や血液のサラサラ作用の強い成分も
含まれている点にも注目しましょう。
「長寿食 365日より」
<サケのパワー>
サケの一般的な旬である秋に出回るものを「秋鮭(アキザケ)」、
春の終わりから夏にかけて少量出回るものを「時鮭(トキシラズ)」などと呼びます。
時鮭は時を知らずして川に上がってきたもの、白子や卵を持っていないため脂が多く、
DHAやEPAも豊富に含んでいます。サケの卵巣を原料にしたスジコやイクラには、
サケにはない、目に良いビタミンAや抗ストレス作用をもつパントテン酸が含まれています。
★カロテノイド系色素の一種アスタキサンチン
サケの身のピンク色はエサとして食べたエビなどのカロテノイド色素の一種、
アスタキサンチンが筋肉にたまったもの。
ビタミンEの500倍もの強力な抗酸化作用が悪玉コレステロールの酸化を抑え、
血管壁を保護します。
★牛乳と組み合わせればカルシウムの吸収率アップ
サケに含まれるビタミンDには、カルシウムの吸収を促進する働きがあるため、
シチューやクリーム煮など牛乳と組み合わせると、吸収率がさらにアップします。
また、サケの水煮缶は骨も食べられるため、カルシウムやカリウム、
亜鉛などがバランスよく摂取できます。
★カロテノイド系色素とEPAで動脈硬化やがん予防に
アスタキサンチンの抗酸化作用は、ストレス性免疫低下の抑制や、
白内障や胃潰瘍の防止に効果があるといわれています。
多くの魚に含まれているEPAやDHAは脳細胞を活性化したり、
動脈硬化や血栓の予防に役立ったりします。
しかし、塩ザケなどは塩分に注意が必要です。
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近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、
そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、
動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、
一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を
摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が
欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、
認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、
それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、
原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
また、食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。