どのビタミンも老化を防止しますが、とくにビタミンB類はもっとも重要なビタミンとされます。
ビタミンB類には、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、
そして葉酸などが含まれています。
ビタミンB類は、1つが欠乏しているときには、他のビタミンも欠乏していることが多いようです。
食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。
また、現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、
認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、
記憶障害をおこすことが知られています。
※ビタミンB12は、葉酸とともに赤血球の生成を助け、貧血を予防します。
また、たんぱく質や核酸(DNAやRNA)の合成、中枢神経機能の維持や脂肪の代謝など
さまざまな働きを担っています。
葉酸は文字通り野菜に含まれるビタミンです。
これもビタミンB12と同じように貧血を防ぐビタミンとされてきました。
もちろんその作用もありますが、現在では、血栓の防止と脳機能の維持が注目されています。
ロンドンのキングスカレッジの研究で、高齢者で精神に変調をきたしている人は、
そうでない人に比べて、葉酸の血中濃度が低いことが発見されました。
葉酸を十分摂取している人は、記憶の減退、うつ状態、認知症になる率が低いこともわかりました。
こうしたことから、50歳以上の人には、積極的に葉酸を摂ることが勧められます。
とくに喫煙をする人は、そうでない人の3倍摂るようにといわれます。
※葉酸(上限値:1mg)は、ビタミンB12とともに造血に働きます。
また、たんぱく質や細胞新生に必要な核酸(DNAやRNA)の合成に関わります。
ビタミンB6も脳機能の向上に重要です。
オランダの研究では、70歳の人に1日20ミリグラムのビタミンB6を3ヶ月投与したところ、
長期記憶が改善されました。
高齢者の場合には消化管からのビタミンB6の吸収が悪いので、
若い人に比べて20パーセント以上多く摂取する必要があります。
※ビタミンB6は、たんぱく質代謝の要です。
体に必要なたんぱく質の再合成に働き、糖質の代謝にも重要な役割を果たします。
皮膚炎予防や精神安定にも。
「脳の栄養失調 より」