発見後五ヶ月で脳梗塞が消えた
「Kさん(70歳・女性)、血管の詰まっていたところが、治っていますよ。よかったですね」
私がそういったのは、Kさんの「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)」が発見されてから、約五ヶ月後のことです。CT写真で、梗塞部分(血管が詰まったり、極端に流れが悪くなったりした部分)が消失しているのが確認されました。
いったいどういう経過でKさんの病変が消えたのか、以下にお話ししましょう。
隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)とは、CTスキャン(コンピューター断層撮影法)やMRI(核磁気共鳴映像法)で、脳の細い血管に梗塞部分が認められるけれどもマヒやしびれなどの自覚症状がほとんどない場合をいいます。
こういう患者さんにじっくり話を聞くと、ごく軽いめまいやふらつきなどが認められることもあります。しかし、ほとんどは、本人も見過ごすほど軽い症状です。そこが「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)」と呼ぶゆえんです。
Kさんの場合も、軽いめまいを訴えており、それが来院のきっかけになりました。そして検査の結果、隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)が発見されたのです。
太い脳血管に起こる一般的な脳梗塞は、治療が遅れると、最悪の場合は生命にかかわります。幸い命が助かってもマヒなどが残りがちですから、早急に治療しなければなりません。
それに対して「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)」は、すぐに命にかかわるわけではありません。現在の医療で病気としてのきちんとした位置づけがされていないこともあり、隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は経過観察程度しかしないのが一般的です。
しかし、私の考え方はちょっと違います。手術や、副作用のおそれが大きい薬の投与などはもちろん行いませんが、「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)をほうっておいてはいけない。それができた背景に着目し、生活改善を進めていく」というのが私の方針です。
そうしないと、隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)が見つかった人は、いつかは本格的な脳梗塞を起こす危険があるからです。
そこで、脳血管を守るため、毎日の食事で脂肪分を控えめにすること、納豆などの大豆製品、野菜、海藻、キノコ類をたっぷりとることなどを指導します。ほかに、禁煙、休肝日をつくることも必要です。
さらに、最近、私が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)の患者さんにおすすめしているのが、「脳ビタミン食品」を摂取することです。
痴呆の老人の脳内はビタミンB12が不足
脳ビタミン食品とは、ビタミンB12とビタミンB1をを中心に含む栄養補助食品です。
ビタミンというと、一般に、野菜などの植物性食品に多く含まれるイメージが強いものですが、ビタミンB12は原則的に動物性食品にしか含まれません。主な供給源は、肉や魚介類、卵、乳類などです。
ただし、納豆やみそ、たくあんには、例外的にビタミンB12が含まれています。これは、発酵の過程でビタミンB12ができるためと考えられます。
電子顕微鏡で見たビタミンB12の結晶は、非常に鮮やかな赤色です。こんな鮮やかな色のビタミンはほかにはありません。また、ビタミンB12は、ビタミンとしてはけた違いに分子量が大きいのです。たとえば、ほかの、ビタミンを人間一人が乗る飛行機にたとえると、ビタミンB12は、それを何機も飛び立てる航空母艦なみの大きさです。
もともとは悪性貧血を防ぐビタミンとして知られるビタミンB12ですが、最近では「脳のビタミン」「神経のビタミン」そして、と呼ばれ、脳神経系に深くかかわることがわかっています。
脳や神経は、神経線維同士の間を情報伝達物質というものが行き来することによって働いています。二本の神経線維の連絡部分は「シナプス」と呼ばれます。シナプスが豊富でよく機能するほど、脳や神経の働きがよくなるわけです。
ところが、年齢とともに、あるいは認知症などの病気により、シナプスはしだいにこわれていきます。ビタミンB12には、そのこわれたシナプスを修復する作用があります。
そのように脳神経の働きをよくするとともに、ビタミンB12には、脳の血流を良くする作用があります。同時に、動脈硬化の原因となる活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
脳を活性化する成分として、近ごろではダイズなどに含まれるPS(ホスファチジルセリン)が話題になっていますが、ビタミンB12には、脳内でPSを作る働きもあることがわかっています。つまり、ビタミンB12は、二重三重の意味で、隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)の予防や改善に役立つのです。
元京都大学医学部の亀山正邦教授は、健康な老人の脳と比較して、老人性認知患者の脳では、含まれるビタミンB12が4−6分の1に低下していたと報告しています。脳の働きとビタミンB12との深い関係を示す研究結果といえます。
厚生労働省が定めた日本人の栄養所要量によると、ビタミンB12の所要量は、成人で一日2.4マイクログラム(1マイクログラムは百万分の1グラム)です。これは欠乏症である悪性貧血や神経障害を起こさないための最低量です。
最近では、こうした所要量とはケタ違いに大量のビタミンB12を摂取することで、上記に述べたような脳神経系へのさまざまな効果が認められることがわかってきました。実際、私の医院でも、強い脳神経症状に対し、回復させる目的でビタミンB12静注液を大量注射することがありますが、回復しています。
大量にとるほど効果が出る
脳ビタミン食品は、ビタミンB12を大量摂取するために作られた食品です。その含有量は、一包中に1500マイクログラムです。ちなみに、ビタミンB12を大量にとっても、副作用などはないことが確認されています。
なお、ビタミンB12とともに主要成分となっているビタミンB1にも、脳神経を健全に保つ作用や動脈硬化を防いで血流を良くするさようがあります。
私は、Kさんにも、食事指導をするとともに脳ビタミン食品をすすめました。Kさんは、毎日、朝晩一包ずつとったようです。それを続けていたところ、前述のように、みごとに脳梗塞が改善できたのです。
食事指導の効果もあったでしょうが、この改善には脳ビタミン食品がかなり役に立ったと思われます。おそらく脳ビタミン食品が、詰まった血管への血流改善や、バイパス(血液が流れる別の道すじ)の産生を促したと考えられます。
隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)が消えると同時に、Kさんのめまいも起こらなくなりました。その後も定期検査にきていますが、とても体調がいいようです。
脳ビタミン食品は、物忘れやボケの予防・改善、記憶力・集中力の向上にも役立ちます。また、腰痛や神経痛、手足の痛み・しひせれ、うつ状態、不眠、自律神経失調症などが改善した人もいます。これらの理由は、血管と神経を回復し得る各種有効成分が配合されているからです。
たとえば、ビタミンB12と他のビタミンB群、ビタミンE、セレン、コエンザイムQ10などです。それらの作用も加わって、隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)やさまざまな症状に効果を発揮すると考えられます。
隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)が見つかった人や、上記にあげたような神経系や足腰の症状に悩んでいる人は、日常の生活や生活環境を改善しながら、自分で手軽にできる対策として、脳ビタミン食品を摂取してみてはいかがでしょうか。
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