脳や神経が働くときは、神経線維同士の間を情報伝達物質
というものが行き来します。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を
行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、
この交差点をシナプスと言います。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、
脳や神経の働きはよくなります。
このシナプスは、歳をとっても増加し、
より成熟した結合が進行するとされています。
認知予備脳―脳は使わないと衰える
□死滅した神経細胞の働きは十分カバーできる
□使っていない脳を呼び覚ますのは若い頃からの活動的な生活
脳の予備能力を最大限に生かすには
皮膚や筋肉などの細胞には“再生能力”があります。
たとえば指にケガをしてしまっても、小さい傷であれば、
いつの間にか治癒して元通りになります。
ところが、脳の神経細胞の場合は、そうはいきません。
いったん神経細胞にダメージを受けると、
その細胞の再生はきわめて難しいのです。
いったん認知症を発症してしまうと完治させることができないのは、
そういう理由からです。
しかし、一生のうちで使われる脳の機能は20%程度です。
脳にゴミが溜まって神経細胞が死滅してしまったとしても、
残りの80%の機能を活用すれば、認知症を発症せずに済むと考えられます。
つまり、脳の神経細胞には、再生能力がない代わりに、
それを補って余りある“代償能力”が備わっているのです。
脳の神経細胞の代償能力が働くシステム――これが「認知予備能」です。
認知症の治療法と予防に関する研究の過程で、高齢で亡くなった人たちの脳を
調べたところ、アルツハイマー型認知症に特徴的な脳の萎縮が起きていた場合でも、
認知症を発症していない人がいることが分かりました。
さらに、その人たちの生前の暮らしぶりについて調べたところ、
身体活動をはじめ、生活全般が非常に活発だったのです。
ちなみに、脳に同じような特徴があって認知症を発症していた人は、
活発な生活をしていなかった人が多いという研究結果も出ています。
脳は使えば使うほど開発される!
これらの事例から、認知症にならなかった人たちの脳では、
神経細胞が傷ついてしまっても、認知予備能が十分に機能していた
という仮説が成り立ちます。
つまり、活発な生活をしていれば、脳に溜まるゴミやシミに
打ち勝つことができると言えるのではないでしょうか。
脳を使えば使うほど、神経伝達物質は活発に働き、神経細胞同士の
ネットワーク化が盛んになります。
歩くときも、話すときも、脳では、あちこちの部分がネットワークを巡らせ、
連動し合っているのです。
脳にゴミが溜まるのを防いで、認知症の発症を遠ざけるには、
「認知予備能」をできるだけ働かせることが重要です。
「認知症にならない人がやっている脳のゴミ掃除 より」
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脳や神経が働くときは、神経線維同士の間を情報伝達物質というものが行き来します。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、
新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、脳や神経の働きはよくなります。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
ビタミンB12は、シナプス形成に重要な栄養成分です。
また、認知症の3割〜5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が
順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、タンパク合成と核酸(DNA)合成の両方に深く関わっています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、
「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
アルツハイマー型認知症の方々の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。