隠れ脳梗塞は、年をとれば、ほとんどの人にできるものです。
皮膚にシワやシミができることと同じように、老化現象のひとつ
であると考えてください。ただ、脳の血管の細いところが詰まり、
血流が悪くなってきているという事実はあります。
それによって、皆さんが恐れる大きな脳梗塞や脳出血の予備軍
であることは間違いありません。
もしも顕著な症状が出ていたら、医師に相談してください。
そうすることで、脳梗塞が予防でき、脳の病気にかかるリスクが
減らせるのです。
「隠れ脳梗塞」を見つければ、脳梗塞は防げる!?
50代で約半分の人に見つかる「隠れ脳梗塞」
隠れ脳梗塞は、脳にできる小さな小さな梗塞のこと。
自覚症状はほとんどありません。
30代で6人に1人、40代で4人に1人、50代では約半分、60代では8割以上、
ほぼ全員にあるという割合です。
一瞬、意識がなくなるけれどすぐに治る、手足がしびれたりろれつが回らなかったりする
けれどすぐ治まる、といった症状で、学問的には一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれます。
症状は24時間以内に消えます。
それが24時間以上3週間以内まで症状が続く場合は、可逆性虚血性神経脱落(RIND)となります。
それらを調べてみると小さな脳梗塞が原因だったことがわかりました。
さらに、解剖学的に見てみると年をとった人の脳には小さな穴があることがわかりました。
その穴のことをラクナといいます。
小さな穴、小孔という意味です。
ですから、病理学的には隠れ脳梗塞とはいわず、ラクナ梗塞と呼びます。
医学的には2009年に、日本脳卒中学会において、
「脳の中にはラクナ梗塞(隠れ脳梗塞)がかなりある」という主張がだいたい通るようになりました。
隠れ脳梗塞は老化現象のひとつ
隠れ脳梗塞は、年をとれば、ほとんどの人にできるものです。
皮膚にシワやシミができることと同じように、老化現象のひとつであると考えてください。
ただ、脳の血管の細いところが詰まり、血流が悪くなってきているという事実はあります。
それによって、皆さんが恐れる大きな脳梗塞や脳出血の予備軍であることは間違いありません。
早く見つけて、しかるべき治療をしたほうがいいのは当然です。
隠れ脳梗塞が見つかったら、逆によかったと思ってください
昔、20代後半の患者さんに、隠れ脳梗塞が見つかりました。
若く、高血圧もなく、本人の希望もあったため、
とくに薬などの治療はせず様子を見ていました。
ところが5年後に調べてみると、隠れ脳梗塞が増えていることがわかったのです。
「ショックだろうけど、仕方がない。薬を飲みましょう」と投薬治療を始めました。
現在、その方は50代。
社会でバリバリ活躍しています。
隠れ脳梗塞が見つからず放置していたら、いつか脳梗塞で倒れ、
今頃は不自由な生活をしていたかもしれません。
隠れ脳梗塞が早く見つかってよかったのです。
今日から脳梗塞を予防する生活をしよう
脳梗塞予備軍である隠れ脳梗塞は、早いうちに見つかったほうがいいのです。
要するに「これを契機にあなたは脳梗塞の予防をスタートできる」ということです。
大きな脳梗塞が起きてから気がつくよりも、その前に気がつけば、
元気でいられるというわけです。
もしも顕著な症状が出ていたら、医師に相談してください。
そうすることで、脳梗塞が予防でき、脳の病気にかかるリスクが減らせるのです。
「「隠れ脳梗塞」を見つけて脳梗塞を防ぐ より」