動脈硬化は、簡単にいえば“血管の老化現象”です。
血管の老化が加齢とともに進んでいくのは仕方のない
ことですが、最近は若い人でも動脈硬化が進行している
ケースが増えています。
動脈硬化の若年化によって、30〜40歳代で心筋梗塞や
脳卒中を発症する人も珍しくありません。
動脈硬化が進行しても、命に関わる血管事故を
起こすまで、ほとんど自覚症状がありません。
そのため、「サイレントキラー」と呼ばれ世界中で
恐れられています。
動脈硬化とは“血管の老化”。体内のあらゆる場所で起こる
動脈硬化とは、文字どおり「動脈が硬くなる」こと。
加齢とともに動脈が老化して硬くなると、その特性であるしなやかさが失われ、
血液をうまく送り出せず、心臓に負担をかけてしまいます。
血管が硬くなると、もろくなり破れやすくもなります。
また、血管の内側が狭くなると、必要な酸素や栄養がいきわたらず、
臓器や組織が正しく機能しなくなります。
血管が詰まると、臓器や組織に血液が流れず、壊死してしまうこともあります。
動脈硬化はその起こり方や起こる部位によって「アテローム動脈硬化(粥状動脈硬化)」
「メンケベルグ型動脈硬化」「細動脈硬化」の三つのタイプに分けられます。
この中でも、日本人に急増しているのが「アテローム動脈硬化」で、
一般的に動脈硬化と呼ばれているものです。
現在、日本人の死因の上位を占めている狭心症や心筋梗塞などの「虚血性心疾患」や、
脳卒中と呼ばれている脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの「脳血管疾患」の多くが、
アテローム動脈硬化を引き金に起こっています。
動脈硬化の種類
動脈硬化はその起こり方や起こる部位によって、次の3つのタイプに分けられます。
●突然死の引き金となる「アテローム動脈硬化」
大動脈や能動脈、心臓に血液を供給する冠動脈など、比較的太い血管に起こる。
アテロームとは、ドイツ語で「腫れもの」という意味。
内膜と内弾性板が接するところにLDL(悪玉コレステロール)などがたまると、
脂肪でできたドロドロの“おかゆ”のような塊(プラーク)となって、
血管壁が脂厚して血管の内腔が狭くなる。
●カルシウムが石灰化する「メンケベルグ型動脈硬化」
大動脈や下肢の動脈、頸部の動脈に起こりやすいのが、
メンケベルグ型動脈硬化。
中膜にカルシウムがたまり、石灰化して起こる。
中膜が硬く、もろくなり、血管壁が破れることもある。
●細い動脈に起こる「細動脈硬化」
脳や腎臓、目などのごく細い動脈に発生する。
外膜・中膜・内膜の3層全体がもろくなり、血管が破裂して出血することもある。
高血圧が長く続いて、引き起こされることが多い。
※動脈の構造
動脈は、内側から内膜、中膜、外膜の3層構造になっています。
強くしなやかな弾力性のある血管を維持するために、柔軟性を保つ成分である
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸、収縮を行う血管平滑筋細胞などからできています。
「動脈硬化を予防する!最新治療と正しい知識 より」