自然老化だけではそう関単に脳梗塞を起こすような
深刻な事態は招きません。
問題は、血管内皮が傷ついていく血管の病的老化。
生活習慣病・加齢・ストレス・活性酸素……
ただでさえ過酷な労働を強いられている血管を
さらに痛めつけているのです。
◆◆ 血液の状態が悪いと、病的老化が進行する ◆◆
確かに自然老化が動脈硬化の原因ではありますが、
それだけではそう簡単に脳梗塞を起こすような深刻な事態は招きません。
問題は、生理的な範囲を超えて血管内皮が傷ついていく、
血管の病的老化なのです。
病的老化、すなわち動脈硬化は、高血圧、高血糖、脂質異常などの
劣悪な血管内環境により発生します。
これらの生活習慣病は、ただでさえ過酷な労働を強いられている血管を、
さらに痛めつけているのです。
高血圧の状態が続くと、血管内皮に小さな傷や炎症が起こりやすくなります。
その傷から、血液中を流れる白血球の中の単球や悪玉のLDLコレステロールが
血管壁に入り込みます。
血管壁に入ったLDLコレステロールは活性酸素(体内でつくられる、
細胞を傷つける力が強い物質)の影響を受けて、
さらに悪玉化した酸化LDLコレステロールとなります。
酸化LDLコレステロールは異物と判断され、免疫細胞によって処理されます。
免疫の要である単球はマクロファージに変わり、
酸化LDLコレステロールを食べて処理します。
すると脂質で満腹状態のマクロファージは、泡沫細胞と呼ばれる泡状の細胞に変わり、
血管の内膜にコブを作ります。
このコブはプラークと呼ばれます。
人は動脈硬化と呼ばれるくらいですから、プラークは硬いと思われがちですが、
実はおかゆのように柔らかいのです。
ちょうど中にスープがたっぷり入った小籠包のような状態です。
柔らかいプラークは不安定で、破れやすい状態にあります。
そして、プラークが敗れると、血小板が集まって血を固まらせようとします。
この血の塊が血栓の元なのです。
なお、プラークの周囲では、平滑細胞や線維成分が増加して、
血管壁全体が病的に硬くなります。
これが血管の病的な老化であり、動脈硬化と呼ばれる理由です。
「隠れ脳梗塞は自分で治す より」