血管は単独の器官としては、120年もの寿命を持つと考えられています。
人間の平均寿命は全身の組織との兼ね合いでは80歳ほどですが、
長年の生活習慣の影響で個人差が出てきます。
健康で100歳の長寿をまっとうできる人がいる一方、
40代や50代の若さで血管病で倒れる人がいるのは、生活習慣の差です。
“動脈硬化”という言葉をよく耳にすることからもわかるように、血管病はおもに動脈で起こります。
動脈は、心臓から押し出された血液を循環させる器官であるため、静脈に比べて厚く、
弾力に富んでいます。
しかし、私たちの体はロボットではないので、1日に約10万回動く心臓のリズムに合わせて、
動脈が収縮と拡張を繰り返すうちに、しだいに弾力を失い、硬くもろくなってしまいます。
この状態が、動脈硬化です。
“硬い”といっても丈夫なわけではなく、血管は硬くなるほど、もろくなるのが特徴です。
たとえば、長年使って老朽化したゴムホースが弾力性をなくし、硬くゴワゴワになり、
ちょっとしたキズから裂けて破れそうになってしまう状態に似ています。
とくに40代になると、肌のハリが衰え、髪が薄くなるのと同じように、
加齢によって動脈がだんだん老化してきます。
そこに、過食や偏食、運動不足、喫煙、ストレスなどの悪い習慣が加わると、
老化の速度がいっきに速まります。
ひと昔前に「モーレツ社員」とか「24時間戦う」というような言葉がはやりましたが、
つねに燃え盛り、生き急ぐような生活は、血管をひどく痛めつけ、動脈硬化を加速させるのです。
≪突然死の元凶“動脈硬化”を引き起こす3つの原因≫
では、動脈硬化を起こした血管、つまり老化が進んだ血管では、どんなことが起こっているのでしょうか?
頸動脈超音波検査での画像など、目に見える部分では、
1. 動脈壁にいろいろな物質がたまって厚くなり、血管内空腔(血管の内側の空洞)が狭くなっている、
2. 血管壁全体が厚くなっている、という状態になっています。
一方、目に見えない部分では、
3. 動脈が硬くなっている、
4. 血液の流れが悪くなっている、という状態が起こっています。
この1〜4の状態をもたらすおもな原因が、高血圧、高LDLコレステロール血症、高血糖(糖尿病)です。
「一生切れない、詰まらない「強い血管」をつくる本 より」