●動脈硬化症を知る
動脈硬化は、動脈が硬く脆くなった状態です。
血管を傷める何かしらの因子により、弾力性が失われて硬化したり、
内部にさまざまな物質が沈着して血管の内腔が狭くなったり詰まってしまったり、
動脈瘤ができたり、全体的に拡張したり、裂けてしまったり、出血したりすることにより、
組織や臓器全体に血行障害を起こす病態を総称して、動脈硬化性病変といいます。
動脈硬化には動脈硬化の起き方、起こる部位により、次の3タイプに分類されます。
アテローム(粥状 いくじょう)硬化は大動脈、脳動、冠動脈の比較的太い動脈に起こるもので、
内膜にコレステロールなどの脂肪からなるドロドロとした粥状物質が蓄積して、
粥状硬化斑ができて次第に肥厚することで、動脈の内腔を狭めてしまいます。
細動脈硬化は脳や腎臓の細い動脈に起きやすく、血管構造の禅僧に対して脆く
破れやすくなってしまった状態で、閉塞したり、壁全体が破裂して出血したりするものです。
中膜硬化は大動脈や下肢、頸部の動脈に起こりやすく、動脈の中膜にカルシウムが蓄積して
硬くなり、中膜が脆くなってしまったものです。
●動脈硬化を助長する原因
動脈硬化を助長する原因は肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧、喫煙、高ホモシステイン血症、
運動不足、ストレス、加齢などですが、このごろよく耳にする内臓脂肪による肥満は、
インスリン抵抗性を生じて代謝異常を起こし、高脂血症、糖尿病、高血圧を誘発しますが、
これにより動脈硬化の進行がさらに進んでしまうといった悪循環を引き起こします。
肥満にともなう動脈硬化、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)などを引き起こす症候を、
メタボリックシンドローム(代謝症候群)と呼びます。
動脈硬化による疾患の代表例が心筋梗塞や脳梗塞ですが、この2つの疾患をあわせると
日本の死亡原因の30%以上を占めることになります。
これは、動脈硬化がいかに人体にとって有害であるかを示しているのではないかと思います。
動脈硬化の進行を食い止めるには、危険因子と呼ばれる糖尿病、高脂血症、高血圧、喫煙などの
コントロールが重要となります。
「脳の病気 より」