ある日突然、あなた自身や、あなたの身近な人の身に起こるかもしれない脳梗塞。
近年、患者数は増え続け、1年間でおよそ35万人も新たに発症しています。
脳梗塞は、命にかかわることもある危険な病気です。
しかし、防ぎようがないという病気ではありません。
おもな原因は、「ふだんの生活」の中にあります。
それでは、どんな生活がよくないのでしょうか。
脳梗塞を未然に防ぎたい人はもちろん、以前、脳梗塞を起こし、再発を予防したい人も、
今すぐに始めたい「10の対策」を紹介します。
☆対策1 「高血圧」「高血糖」「高コレステロール」を改善する
これらは脳梗塞を起こす最も大きな要因です。
偏った食生活や運動不足など、共通の原因から起こるため、重なって発症することが
少なくありません。
要因が一つでも脳梗塞を起こす危険があるのですが、重なるほど危険度は
急上昇していきます。
栄養バランスのとれた食事を始め、生活全体を見直し、早急に改善しておきましょう。
☆対策2 肥満を解消する
特に内臓の周りにつく脂肪(内臓脂肪)は、動脈硬化と深い関連があります。
内臓脂肪が過剰にたまると、血圧を上げる物質が分泌されて高血圧になり、
インスリンの働きを阻害する物質などが分泌されて、高血糖を招きます。
また、内臓脂肪が分解され、どっと血液中に流れ込むことで、動脈硬化を阻止する
善玉コレステロールが減少し、中性脂肪が増加します。
この結果、動脈硬化が早まります。
腹囲(おへそ周り)が、男性85cm以上、女性90cm以上は、内臓脂肪型肥満の
疑いがあります。
過食を避け、脂っこい料理を控えて、肥満解消に努めましょう。
☆対策3 イライラしない
ストレスは脳梗塞の大敵です。
イライラしたり、怒ったりすると、血液中に「カテコラミン」というホルモンが出てきて、
血圧が上がってしまいます。
特に、頑張り屋やせっかち、負けず嫌いな性格の人は、動脈硬化が進みやすく、
脳梗塞の危険性が高いとされています。
ストレスそのものをなくすことは難しいのですが、イライラしそうなときは、
気分転換を図り、上手にストレスを解消することです。
☆対策4 親や兄弟姉妹に脳梗塞を起こした人がいないかを確認する
脳梗塞自体は遺伝しませんが、脳梗塞の引き金である高血圧や糖尿病などは、
体質的に受け継ぎやすいこと、また、親子や兄弟姉妹などは、食生活をはじめ、
同じような生活習慣を持つ傾向にあるなどが挙げられます。
これは、自分では避けようがないことですが、事実を認識することで、
日ごろから生活を管理すれば、将来、リスクは軽減できるのです。
☆対策5 きっぱり禁煙する
喫煙する本数が増えるほど、脳梗塞の危険性が高まります。
たばこの煙に含まれる一酸化炭素は、脳に運ばれる酸素の量を減少させます。
また、たばこに含まれるニコチンは、血管を収縮させて血圧を上げます。
さらに、血液中のコレステロールや赤血球を増加させ、血液を粘っこくして、
動脈硬化を悪化させます。
☆対策6 ビタミンC、カリウム、マグネシウムをとる
ビタミン、ミネラルは体の機能を調節する大切な栄養素です。
<脳梗塞を防ぐビタミン>
最近、脳梗塞を起こす物質として「ホモシステイン」が注目されています。
これは、肝臓で作られるアミノ酸の一種です。葉酸、ビタミンB6、B12などが
不足すると、血液中に増え、動脈硬化を早めます。
☆対策7 お酒を飲みすぎない
大量のお酒は、高血圧をはじめとする生活習慣病の誘因となり、
脳梗塞の危険性が高くなります。
適度のアルコールは、血圧を下げたり気分をリラックスさせたりしますので、
無理して禁酒する必要はありませんが、飲みすぎないようにしましょう。
<適量とは?>
・ビール中瓶1本(500ml) ・日本酒1合(180ml) ・ワイン2杯弱(1杯120ml)
・ウイスキーダブル1杯(60ml) ・焼酎(25度)ぐいのみ2杯弱(1杯50ml)
☆対策8 コップ1杯の水を習慣にする
水分が不足すると、血液が濃くなって、血管内を流れにくく、詰まりやすくなります。
「のどが渇いた」と感じる前に、水分をとりましょう。
朝起きたとき、寝る前、入浴する前後などにコップ1杯の水分をとる習慣をつけて下さい。
一度に大量にがぶ飲みするのはよくありません。
胃に負担をかけ、胃液を薄めて、消化不良を起こすおそれがあります。
☆対策9 早足で今より多く歩く
運動は、血液の循環をよくし、高血圧、高血糖、高コレステロールを改善する
効果があります。
また、内臓脂肪は、運動をすると落としやすいことがわかっています。
体を動かすことで、ストレスの解消にもなります。
よくないのは、激しい運動、相手と勝敗を競うような運動です。
血圧が上がりやすく、かえって脳梗塞を引き起こす恐れがあります。
運動は継続しなければ効果は期待できません。
週一回まとめて1時間行うよりも、週三回に分けて、20分ずつこまめに行うほうが
効果的です。
☆対策10 1年に一度は検査を受ける
40歳を過ぎると、動脈硬化が進行し、脳梗塞を起こす可能性は大きくなります。
年に一度は健康診断を受け、自分の状態を把握して、問題があれば、早急に改善しましょう。
脳梗塞は、午前中に多く発症するといわれます。
しかし、午後や夜間、就寝中にも起きることがあり、油断はできません。
安静時、活動時を問わず起こりますが、心原性脳塞栓症は、
主に活動時に発症しやすいようです。
季節では、夏と冬が要注意です。
夏は、汗をかいて脱水症状に陥り、血液が濃くなって血栓ができやすくなるため。
冬は、寒さのために血管が収縮して血圧が高くなるからです。
水分補給を心がけ、室内と室外との寒暖差に注意しましょう。
「NHK生活ほっとモーニング より」
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認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を
防ぐことができるのです。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、
40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって
血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、
脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、
段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、
ふだんから脳の血管を健康に保つ生活を心がけ、脳梗塞を予防し、
脳の健康を守ることが大切なのです。
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは
促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステインや活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす
非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。
また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の
異常を引き起こします。
その結果、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞になるのです。
もしビタミンB群のビタミンB12や葉酸があれば、ホモシステインは分解されます。
しかしビタミンB12や葉酸が欠乏していると、ホモシステインが増え、
その結果、血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞になります。
ビタミンB12は、大量かつ配合によって効果的に働き、そして、ビタミンB群は
バランス良く摂ることで相乗効果を発揮します。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が
起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。