不足成分を補って、にっこり過ごしましょう
◆神経伝達物質の材料になる成分を補うことが大切です
仕事がたまっていたり、疲れていたりするときに、自分の思いどおりに物事が進まないと、
イライラしやすくなります。
また、つねにイライラしやすく、状況によってキレやすくなるという人もいます。
こうしたイライラの原因は、脳の神経を伝達する機能の低下によって、
脳の緊張・興奮状態が過剰になっているのではないかと考えられています。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、
ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに
行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、
イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、
ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分や
ビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を
放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
それらの成分が不足する背景には、朝食を抜くといった欠食や、
栄養のバランスの悪さなどが考えられます。
忙しいからと食事をぬいていないか、好きなものばかり食べて偏食をしていないかなど、
自分の日頃の食生活をふり返り、食事リズムと栄養バランスを改善していくことが大事です。
◆アミノ酸、糖分、ビタミンB12、カルシウムを積極的にとりましょう
食事をぬくと低血糖状態になるため、イライラしやすくなります。
そういう場合は、血糖値を早く上昇させるため、体内ですみやかにブドウ糖に換わる砂糖や
でんぷん質などの糖質をとりましょう。
コーヒーや紅茶に砂糖を入れて飲むのもいいですし、ご飯などの主食やいも類をとるのも
おすすめです。
また、体内でブドウ糖が不足して血糖値が低くなると、血液中にあるトリプトファンや
コリンなどのアミノ酸の吸収が悪くなるため、それらから作られる神経伝達物質の
セロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどが不足してしまいます。
良質のたんぱく質(アミノ酸)が含まれる肉や魚介、卵、牛乳などをとりましょう。
神経伝達物質の生成に欠かせないビタミンB12はレバーや肉、魚介など、
動物性食品に多く含まれています。
さらに、神経伝達物質を分泌するときに必要なカルシウムは、牛乳、桜えびなどの小魚、
大豆、大豆製品、大根の葉、かぶの葉、みずな、菜の花などの青菜から摂取します。
飲料水を、カルシウムが多く含まれるミネラルウォーターにするのもいいでしょう。
カルシウムは成人男女の場合、1日の目標摂取量は600mgほどですが、
日本人の半数以上が目標量に達していません。
カルシウムが不足すると、神経伝達のために骨を溶かして補うので、骨がもろくなります。
イライラだけでなく、骨粗しょう症予防のためにもカルシウムを積極的にとりましょう。
また、緑茶や紅茶に含まれるテアニン、ウーロン茶に含まれるテオブロミンなどの
香り成分は、精神を鎮静する働きがあります。
イライラを感じたら、一杯のお茶で休息するのも効果的です。
「病気にならない人の食べるクスリの本 より」
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ビタミンというと、一般的には、野菜などの植物性食品に多く含まれるというイメージが
強いようです。
しかし、実は、動物性食品にしか含まれないビタミンもあります。
それがビタミンB12です。
ビタミンB12は腸で吸収されます。
しかし、その前に胃の内因子と結合することで吸収される状態を作っているので
胃を切除しているなどの場合は、胃の内因子なしで吸収される
ために大量のビタミンB12を補給する必要があります。
高齢で胃の粘膜が萎縮している人や膵臓に病気のある人も同様です。
また、透析を行っている人にも欠かせません。
糖尿病になると食べ物からビタミンB12の他、葉酸・ビタミンB6の吸収が阻害されるので
栄養補助食品やビタミン剤などで補う必要があります。
ビタミンB12の働きとして、成長を促進し、子供の食欲を増進させる、
エネルギーを増大させる、脂肪・炭水化物・タンパク質が適切に使われるようにする、
集中力・記憶力を高めて精神を安定させる、などが挙げられます。
また、神経細胞内の表面の脂質膜の合成にも関与しており、末梢神経の傷の回復にも
効果があります。
実際、腰痛などの治療にも採用されています。
腰痛や肩こり、手足のしびれに悩まされている人にもビタミンB12はおすすめです。
もうひとつ忘れてはいけないのが、ホモシステイン血症との関わり。
遺伝的なもの以外では、ビタミンB12不足により引き起こされるホモシステイン血症は、
進行すると動脈硬化や心筋梗塞の危険性が高まるといわれています。
ビタミンB12は、葉酸とともに核酸の合成を助け、脊髄、胃腸の粘膜などで活躍します。
ビタミンB12は、大量かつ配合によって効果的に働き、そして、ビタミンB群はバランス良く
摂ることで相乗効果を発揮します。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が
起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。