B6とB12は神経細胞に多く含まれているため、「頭のビタミン」と呼ばれています。
B6は、タンパク質をバラバラに分解してアミノ酸にする酵素や、あるアミノ酸を
別のアミノ酸にモデルチェンジする酵素のはたらきを助けています。
炭素一個の単位であるメチル基を、分子から分子へと移動する化学反応を
メチル化と呼んでいます。
メチル化は伝達物質やホルモンの合成に欠かせないですが、
これを進めるのに必要なが、B12と葉酸です。
もしB6が不足すれば、「幸福物質」セロトニンの生産が落ちてしまいます。
脳内はセロトニン不足になりますから、何かのきっかけでうつになりやすい。
B6はストレスを緩和しますが、ストレスはB6を消費します。
もしB6不足で、ストレスを受けているなら、うつに向かっているのかもしれません。
B6や葉酸が不足ぎみの人は多いのです。
イギリスのキングスカレッジ病院は、うつや統合失調症の、精神化の入院患者123人の
血液を調べたところ、その半数は葉酸レベルが低かったことを公表しました。
そこで、葉酸か偽薬を6ヶ月間与えたところ、葉酸グループだけに気分の向上が
見られたといいます。
葉酸の不足が気落ちの原因となることがわかります。
1960年代から、精神科の患者さんにB12や葉酸が不足していることが多いことは
指摘されてきました。
1967年、ランカスタームーア病院のカーニー博士は、精神科の患者さんは
B12や葉酸が不足していることが多いため、まず、ビタミンレベルを調べることを
提唱しました。
もし、B12が不足すると、感覚が鈍くなり、思考力も落ちます。
じつに、認知症患者の半数にB12不足が見られるといいます。
それぞれのビタミンはつぎの食べ物に多く含まれます。
B6は、サバ、カニ、インゲン、バナナ、ブロッコリー、ホウレンソウ、ニラ、キャベツ。
B12は、ハマグリ、ウニ、チーズ、シジミ、ウズラの卵、スジコ、ウシ、ブタ、トリのレバー。
葉酸は、酵母、ウシやブタのレバー、胚芽、ホウレンソウ、ダイズ、ジャガイモ、アズキ。
「食べ物を変えれば脳が変わる より」
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近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、
そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、
動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、動物性食品を
摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという
深刻な問題も起きています。
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、
原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
しかし、食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。
また、現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、
認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、
それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは
促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステインや活性酸素(ふえすぎると体に害を
及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が
起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。