現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、
認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、
それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、
そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、
動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、
一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる
恐れがでてきます。
最近の傾向として、動物性食品は悪者で、植物性は良いというイメージで、
動物性タンパク質を摂らない事から、ビタミンB12が摂取できないので、
脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
また、糖尿病の場合もB12、B6、葉酸の吸収が阻害されるので、
これらのビタミンを摂るようにしたいものです。
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、
原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
また、食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは
促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステインや活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす
非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、大量かつ配合によって効果的に働き、そして、ビタミンB群は
バランス良く摂ることで相乗効果を発揮します。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために
必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が
起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。